「旅宿の花] ~平家追想830年の伝説と芸能~

遥か昔の平家物語と平家伝説。その風景と民俗芸能には、日本人の心と信仰心、自然観と美意識が今も優しく流れています。

 

題目立(奈良)と御船祭り&扇祭り(熊野)の旅(2016.10.10~18、2017.7.14)

 平家が深く信仰した熊野権現と、源平の武将が登場する芸能を訪ねて紀伊半島を旅してきました。

2016年は、源平の武将を題材とした演目を、17歳を中心とした青年達が登場人物ごとに台詞を分担して、独特の抑揚をつけて語る芸能「題目立」を観て、熊野速玉大社の御船祭りへ。

2017年は、熊野那智大社の例大祭「扇祭り(那智の火祭り)」と那智田楽の撮影です。

2016年は奈良から、玉置神社を経由して、湯の峰温泉から熊野三山へ。

2017年は、熊野三山から高野山に入り奈良へ行く逆コースをとりました。

 熊野は、吉野や伊勢神宮や高野山へと、網の目のように神道、修験道、仏教(真言密教)という異なる宗教が自由自在に移動できる道がありました。これは、世界中のどこにも存在しない現象といわれ、平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。これまで日本各地を見てきて、改めて八百万の神を持つ日本人の信仰の原点を感じたところです。

先帝祭安徳天皇八百三十年式年祭

源平合戦壇ノ浦の戦いで、平家が滅亡して今年で830年を迎えます。赤間神宮では、安徳天皇八百三十年式年祭「先帝祭」が5月2日(土)~4日(月)の3日間盛大に開催されました。

初日は晴天に恵まれ、御陵前祭や平家一門追悼祭が執り行われました。

3日(日)は生憎の雨で、上臈道中や天橋でのお披露目は中止となりました。雨での中止は、11年ぶりだそうです。本殿祭や上臈参拝などの奉納行事は、沢山の人々に見守られる中、拝殿内で華麗に繰り広げれました。最終日は小雨が残りましたが、御神幸祭神牛巡幸出発を迎える時は青空が広がる最高の天候となりました。神牛は隔年で登場するそうですが、過去雨に見舞われて今年は10年ぶりの神牛巡幸となりました。神牛は、赤間神宮から伊崎町御旅所までの往復を暑い中元気に歩き、それはそれは頑張りました。830年式年祭をお祝いする「先帝祭」は、とても素晴らしい3日間となりました。