秋吉台の花たち

蒼い月光を浴びた秋吉台は、遥か古代の海底の中を想像させる。台地上の総面積は54K㎡。山口県美祢市に広がる日本最大のカルスト台地である。

地表には無数の石灰岩柱と多数のドリーネあり、地下には秋芳洞や大正洞など400を超える鍾乳洞がある。カルスト台地上の降水は、全て地下に浸透し厚東川に排出されていく。ドリーネで作られるゴボウは、美東町の特産物で美味い。秋吉台東部には長登銅山跡があり、帚木蓬生氏著の奈良の大仏建立の舞台となった小説「国銅」に登場する。

 秋吉台は、四季折々にたくさんの花が咲く。貴重な山野草の宝庫である。絶滅危惧植物も多く生息し、盗掘を含めその減少が心配されている。春の風物詩である山焼きの後は、センボンヤリ・ヒトリシズカ・オキナグサ・アマナが咲き始める。秋に入り草紅葉が黄金色に輝く頃、ムラサキセンブリ・ウメバチソウ・ヒメヒゴタイなどが秋風を受けて冬の到来まで咲き続ける。秋吉台の広大な草原は、多くの人の手による山焼きで維持されている。カルスト台地の風景と貴重な山野草に出会えるのはそのおかげである。