屋久島

200410月、55歳の時に屋久島を訪れた。この頃はまだYS11が鹿児島空港から飛んでいた。距離はわずか25分間である。その年は、超大型の台風23号が日本に上陸し甚大な被害をもたらした。

屋久島初入山は、高塚小屋泊で縄文杉に行くことになった。朝5時に宿を出て荒川登山口に向かった。そこからは延々トロッコ道を歩いた。途中、欄干の無い橋があり、深い谷底に吸い込まれそうで足がすくんだ。大株歩道から、翁杉・ウイルソン株・大王杉・夫婦杉を経て縄文杉に着いた。根回りには、根を傷めないようにデッキが設置されていた。デッキの上で仰向けに寝て、縄文杉を下から見上げた。改めてその大きさを痛感した。高塚小屋で夕食をとり、三岳片手に夜の縄文杉を楽しんだ。翌朝、人の少ない縄文杉の傍で朝食をして、白谷雲水峡に向かった。楠川分れから辻の岩屋・太鼓岩・もののけの森経由で白谷雲水峡のバス停まで苔の森を楽しんだ。

台風23号が19日の夜半にかけて屋久島を通過した。翌朝テレビの台風情報で下関が映っていた。この日は、台風の余波で風が強く、観光を諦めて屋久杉の箸作りを体験した。縄文杉に同行したガイドさんのご厚意で、黒味岳に登った。その足で、いなか浜へ移動して送陽邸から三岳片手に夕日を眺めた。

8日間の旅を終え帰宅した。暫らくして、後髪を引かれるように屋久島が妙に恋しくなった。それから、ヤクシマシャクナゲ・オオゴカヨウオウレン・ヤクシマリンドウの咲く時季に合わせ、3回屋久島を訪れた。「春の宮之浦岳と永田岳そして花山歩道」「冬の白谷雲水峡と黒味岳」「秋の宮之浦岳から見た夜空に広がる天の川や太忠岳」は、屋久島固有種の花たちと共に心に深く残る思い出である。そして、屋久島の美味い氷で呑む三岳に魅了され、私は、アル(三岳)チューとヤク(屋久)チューとなった。

森と水流れる太古の島(Ⅰ)

森と水流れる太古の島(Ⅱ)