正月の祭り


 大晦日から元旦にかけて、豊前市大富神社で豊前岩戸神楽が奉納される。演目は、豊前神楽の特徴であるミサキ神楽の「湯立」である。3日は、福岡市筥崎宮で「玉取祭(玉せせり)」がある。直径30㎝余りの陰陽二つの玉を、海部側と山部側に分かれて激しい争奪戦が繰り広げられる。玉は最後、楼門で神官の手に納まる。豊漁と豊作を占う年初めの神事である。九州の正月は、仏教行事も多い。2日に佐賀県の竹崎観音寺修正会鬼祭り、4日に大分県の鷹栖観音鬼会がある。北部九州では、正月6日、7日を鬼夜と呼ぶところが多く、大宰府天満宮の鬼すべや久留米市大善寺玉垂宮の鬼夜がある。大松明を焚いて、鬼を追い出す修正会である。一方、国東半島では、旧正月に幸せをもたらす鬼が登場する修正鬼会がある。高田市は天念寺(旧正7日)、国東市は成仏寺(旧正5日)と岩戸寺(旧正7日)が相互隔年交代で毎年開催する。いずれも、千年を超える祭りである。

 新年を寿ぐ日、小正月の訪問者が各家を回る祭りがある。山口県阿東町の「といとい」・下関市豊浦町の「盗餅とへ」は、わら馬を持って各家を訪問して福を運ぶという風習が残る。佐賀県の「カセドリ」は、二人の青年がカセドリになり、各家を訪問する。訪問を受けた家は、茶や酒をふるまう。その際、カセドリの顔を見ると縁起が良いという。鹿児島県志布志市では、春を告げる「ダゴ祭り」がある。ダゴ花は稲穂に見立て、大きな実りの思いを込めて集落総出で作る。最後のダゴ花争奪戦は、微笑ましい。